director's voice

波多野裕子さんより

得も言われぬ静かで味わい深い色調と
美しいフォルムのガラス作品を制作する波多野裕子さんからのメッセージをご紹介します。

Q1
掲載作品のタイトルと作品についてのコメントをお寄せくださいますか。
ほかに、出品くださる作品がありましたらお教えください。

A1
タイトルは特にありません。
浅鉢です。
1点の掲載ですので、今の自分らしい形、今の自分らしい色と思い制作しました。
他には数は少ないのですが、小鉢と色々なサイズのグラスを出品します。

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タイトルはあっても、なくても、それが作者の意図なんですね。
波多野さんの無音のような世界には、タイトルがないことこそが、
見る人、使う人に豊かな世界を提示してくれているような気がします。

Q2
図録冊子がお手元に届いた感想をお聞かせくださいますか。

A2
目次を見て、工房からの風の15回の歴史、積み重ね、そして作品の幅の広さを感じました。
ページをめくりながら、1回1回それぞれ違う風が吹いたんだろうなぁと、
色々な回の話を聞きたいと思いました。

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Q3
12月2日いちにちだけコルトンホールに現れる「作り手の本棚」。
波多野さんは、どのような本をお貸しくださいますか?

A3
ローラ・インガルス・ワイルダー
「大きな森の小さな家」
です。
最初は母に読んで貰い、読めるようになってからは何度も自分で読み返した本です。
これを読みながら、干した雑草で麦わら帽子を作ってみたり、
割り箸で丸太小屋のミニチュアを作ってみたりしたのを、今でもはっきり覚えています。
手で作り出す楽しみ、物が出来上がる過程のワクワクを私に刷り込んだバイブルです。

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2011年に出展くださった波多野裕子さん。
ろくろで石膏型を作り、そこにガラスの素材を鋳込む独特の制作は、
一点一点にかかる比重がとくに深いように感じています。
そうして完成したガラスには、しんとした美しさが宿って
見る人の心をぽっと灯してくれるような気がします。

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